むつ市街から恐山に向かって山を登る。
青看板には『恐』 と 『山』 の間にカラスがとまっているし、残りの距離は不吉な数字 9km だし・・・
恐山は山の上にあってヒルクライムのアプローチ中には無数の地蔵、そして宇曽利湖が現れたところ、三途の川をわたって恐山に入る。いちいちオドロオドロしい。
ここ恐山は宇曽利山という元名があって、アイヌ語のウショロ(入江とか、湾)に由来している。
これがオソレ『恐』になったそうだけれど、何故のその『恐』 という字を充てるのか。
そこらじゅうから火山性のガスが吹き出ていて、何処を掘っても温泉が出てくるらしく無料の温泉がある。 私はヒルクライムでかいた汗を流した。 とは言え、洗い場があるわけではなく硫黄成分を体につけジャージを羽織る。 オナラ臭いまま霊場内を歩く事は霊に失礼にならんだろうか
火山性ガスの噴出、一面に白茶けた荒涼とした風景。
小石を積んだ山や卒塔婆は、死者への深い鎮魂の気持ち。
お花の代わりに供える風車がカラカラと回る音。
石に語りかけている人までいる。
木には手ぬぐいが結ばれていて、とにかく薄気味悪い。
聞けば、供えてある靴やおもちゃと同じく死んでいった物があの世で困らないように供えられたものだそう。
飛んでいかぬように木に結ばれているとのことだった。
無心で見れば、おどろおどろしさ、薄気味悪さ満点だったけれど、 『恐山』 をググったら、薄気味悪く思う気持ちは遠のいた。 それは、恐山霊場は戦後造られ、そもそも、こういう ”心霊キャラ売り” されるようになったのは昭和50年代頃 『あなたの知らない世界』 に代表される心霊ブームで脚光を浴びてから。 観光スポットとして人気を博したけれどそれ以前は硫黄鉱山の廃墟であったそう。 イタコの口寄せで有名だけどこの霊場とは何の関係もない人たちが有料で(営業)しているらしい。 おまけに、高野山、比叡山と並んで 『日本三大霊山』と宣伝されるが、あくまでも恐山霊場のみが自称しているにすぎない ・・・・ 。
ここはパワースポットしても有名らしいが、住職曰く、恐山はパワーも何もないパワーレス・スポット、いわゆる巨大な空洞だからこそ、死者への感情を入れることができる。 恐山には供養の仕方や教義の決まりは一切ない。 供養に来た人が自分の感情に任せて、自分の信仰を作っていくだけだそう。 道理で、木に手ぬぐいも結び放題、イタコも自由というわけだ。 ・・・・ なら分かる。
要は、昭和期の心霊ブームとともに ”オドロオドロしいキャラ” によって観光客が増えてきた霊場ということか ・・・ そう思うと、『宇曽利』 に 『恐』 の字を充てた時点でキャラ作りが始まっていたのかもしれない。 ただ、入場料500円で風呂まで入れるし、端から商売優先であったわけでは無いかもしれない。 偶然ブームになったのかもしれないけれど、日本ではこういったキャラ作りにより観光地化の結構初期の例では? ・・・ そんなことを考えながら山を降りた。
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