20151119

Cadillac Eldorado


 
サイクリング中、ロワール川湖畔Saint-Dyé-sur-Loire
フランスの古い教会の前、その場の空気を完全に支配しているかのように佇むCadillac Eldorado
ヨーロッパの教会とアメ車の意外な組み合わせ、掲げられたフランス国旗と同じブルーと白、想定外の驚きがあった ・・・ とにかくアメ車がこれほどかっこ良く見えたことはない

 
 
そういえば、ヨーロッパでアメリカ車を見ることはほぼ無い
それもその筈、アメ車が正式にヨーロッパに輸出されたのは1990年台半ば以降で、それまでは並行輸入車しかなかったそう。 ましてやクラシックカーと呼んでもいいほどのキャデラックなど・・・
この車が、新車から乗り継がれているのか後年になって輸入されたものなのだろうかと興味が湧いてきた。 と言うのは残念なことにエンブレムまできっちりと確認しなかったのだけれど。 この年代のCadillac Eldoradoには5.7l のディーゼルエンジンを搭載したものがあると知ったから。 フランスではディーゼルエンジン車の普及率が高く70% にも達しており、好事家が後年わざわざディーゼルを選んでクラシックキャデラックを輸入したことも考えられるのかなと ・・・  

 

 
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20151114

Japanesque



嫌いだったパリが好きになった理由。 velib' だけじゃない
それはフランス人と接する時、度々感じる日本に対する認識の深まり。
それは昔のfrom Japanと言った時の反応とは明らかに違う。 
 

モンパルナスの女性駅員など、日本のパスポートを出した時の反応が ”Oh cool!”  フランス人に”Japan=cool” と言う認識があることに驚きである。 当然そんな人もいてもおかしくはないけれど、この例だけではなく日本に対して好感を持っていると思われる人に毎日欠かさず会った。 


魚専門のレストランでは給仕が魚の説明で”いとよりの海藻バターソース” とかいう始末。”鯛”と言わず何故に”いとより”ってなるやん? 他ではメニューが読めず困っていたら”私、京都に住んでました”と言って日本語で説明を始める隣席のオネエチャン、 蚤の市ではミャンマーの古物の説明でピューマとジャガーの違いを辿々しい日本語で説明しようとするオッサン、”セーラームーン”や”神の雫” なんて日本語題名で話しだす子もいた。 ”ルイヴィトンに並ぶけったいな東洋人達” は今や日本人ではなく中国人に取って代わられ、日本の文化的国家としての認識はかなり上がっていることを認識した。

  
  
  
 

  
  
サントリーウイスキー”余市”・・・日本の市価が1500円が€36=4800円はやり過ぎと思うけど、ショーケースに漢字ラベルのウイスキーや日本酒が並んでいることが彼らにとってはクールに見えるのかもしれない。 南部鉄器はなんと€590=80000 円  そもそも良い印象で迎えられていなければこのような法外とも思える値段付けは通用しまい。
 


   
 
飲食店の変化も驚いた。 20年前はもちろんど10年前においてもパリにはたくさんの中華料理店があった。 なのに今や中華料理店は探さないと出会わない。 日本料理店はどの通りでも見つけられる程に多い。 かなり怪しい日本料理店も多いから、日和見的な中国人が和食店に鞍替えしたしたものもかなり多いことは想像に難くないが。
  
 



そして驚いた料理。
説明には”ブイヨン、セモリナ粉、プラム、鴨の生ハム” とあった
食ってみたらこれはそのまんま ”梅の出汁茶漬け”。 ご飯の変わりがセモリナのクスクス、プラムと説明されたものはまさにシソ香る日本の梅干し。 和食だとお茶漬けは最後だけど、この地では温前菜として出てきた。 大御所アラン・デュカスが日本橋の八木長の鰹ダシを使うと聞いたけど、ちょっとした小径のビストロにも日本の風。  日本のエキスをかなり感じたパリ。
 
 
 
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20151109

Velib' 

   
 
パリに来た。 
 
20年前に1回目、10年前に2回目10年ぶりの人生3度目
こんなペースでしか来なかった理由は一つ、パリが好きではなかったからである。 犬のウンコはたくさん落ちてて1度の旅行で2回くらい踏んだし、銀行や郵便局に行っても不親切だし、無関心だし、人種差別は感じたし嫌いな街と言っても良かった。 でも今回変わった。 かなり好きになった。 その理由はいろいろあるが、好きにさせてくれたのはこの世界最大規模の自転車共有サービス Velib' (ベリブ)によるところも大きい

  
 
  

 



  



 
まずは東駅から北駅、更に北上、
パリの朝の地下鉄のラッシュは東京と変わらぬほど酷い場所もあって自転車のほうが余程スムーズで快適。 しかもシマノの変速機が付いていて予想以上に普通に走る。 3kmほどでクリニャンクールの骨董街。 安倍糞の円安のおかげでとてもじゃないけど買える値段じゃないけど、本場フランスブランドは面白いものが揃っている。  

  
 


クリニャンクールから環状線を左回りに5kmほど、ブローニュの森。
夜はオカマが出没するというあのブローニュの森である。 ブローニュの森自体広大(東京ドームの200倍!)であるし、公共交通機関と徒歩じゃなかなかコレない場所。 この頃にはすっかりVelib' エエわ~になっていた
  

 

  

  

ルイヴィトン財団が作ったゲーリーデザインの美術館もブローニュの森の一角にある
 
 
  
  
 
  
 
  
  

ブローニュの森を突っ切って、なにか無いかと調べましたらLe Corbusierのデザイン、Maison la Rocheがあった。 コルビジェの生建築に来たのははじめてである。 

 
 
  
 


 
何故今まで来なかったかといえば、たどり着きにくい場所で面倒、場所を探してまでそこに至るという行動が嫌いと言う性格的なものと、コルビジェのデザインは本でさんざん見てるから別に見る必要もないと思っていたから。 しかし、とんだ頓珍漢であった。 プラン、スケール感、ディテール、・・・ 全てに今更感動してしまった。 本当に馬鹿だった。 時間よ戻れ。   
 

  
  

そして、Maison la Roche で一緒になったドイツ人にすぐ近くにコルビジェがアトリエとして使っていたアパルトマンがあって、しかも週に一度しか公開しないことを教えられたから行くしか無い。 近いと言っても歩きやメトロじゃ割と時間が掛かるわけで、そこもVelib' ならあっという間だった。 
  
 

  
  

  
 

  
 

   
 
本当にVelib' のおかげ。 コルビジェが生活していたペントハウスにまで来ることができた。
すっかり感動してしまい、後日コルビジェの最高傑作の誉れ高いVilla Savoye まで行くことになる。 これじゃ遅れてきた建築科学生である。
 

 
  
  
 

   
 
  
 



セーヌに掛かる撮影スポット、ビルアケム橋、 その後もセーヌ川沿いにエッフェル塔、そして凱旋門を望むシャンゼリゼ通りと Velib' を走らせる 
 
  
  
  
 
パリの帰宅ラッシュ時、パリジャン、パリジェンヌ、皆Velib' かなりのスピードでかっ飛んでいく。 かと言って、さすが自転車大国だけあって車が幅寄せして意地悪をする様な輩はいない。



メトロを使った観光じゃメトロに載ってる間はブラックボックス。 そして地上はいきなり目的の観光地。 何処にいるかよくわからず人に聞いても不親切。 これじゃ好きになりようがない。 Velib'は違う。 変わっていく街の雰囲気をシークエンスに感じることが出来る。 金持ち地域から黒人だらけの怪しい地帯、街の匂い、観光地から只の住宅街・・・ 
  
 
パリは住むように楽しむのがいいとか、パリ通気取りが訳の分からぬことを雑誌で書いているのをよく見る。 その心がなんとなくわかるような気がした。 短期間で街それぞれの雰囲気を感じるにはもってこいの移動手段。 パリが近づいた、そして好きになった。 



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