パリに来た。
20年前に
1回目、
10年前に
2回目
、10年ぶりの人生
3度目
こんなペースでしか来なかった理由は一つ、パリが好きではなかったからである。 犬のウンコはたくさん落ちてて
1度の旅行で
2回くらい踏んだし、銀行や郵便局に行っても不親切だし、無関心だし、人種差別は感じたし嫌いな街と言っても良かった。 でも今回変わった。 かなり好きになった。 その理由はいろいろあるが、好きにさせてくれたのはこの世界最大規模の自転車共有サービス
Velib' (ベリブ)によるところも大きい
まずは東駅から北駅、更に北上、
パリの朝の地下鉄のラッシュは東京と変わらぬほど酷い場所もあって自転車のほうが余程スムーズで快適。 しかもシマノの変速機が付いていて予想以上に普通に走る。
3kmほどでクリニャンクールの骨董街。 安倍糞の円安のおかげでとてもじゃないけど買える値段じゃないけど、本場フランスブランドは面白いものが揃っている。
クリニャンクールから環状線を左回りに
5kmほど、ブローニュの森。
夜はオカマが出没するというあのブローニュの森である。 ブローニュの森自体広大(東京ドームの
200倍!)であるし、公共交通機関と徒歩じゃなかなかコレない場所。 この頃にはすっかり
Velib' エエわ~になっていた
ルイヴィトン財団が作ったゲーリーデザインの美術館もブローニュの森の一角にある
ブローニュの森を突っ切って、なにか無いかと調べましたら
Le Corbusierのデザイン、
Maison la Rocheがあった。 コルビジェの生建築に来たのははじめてである。
何故今まで来なかったかといえば、たどり着きにくい場所で面倒、場所を探してまでそこに至るという行動が嫌いと言う性格的なものと、コルビジェのデザインは本でさんざん見てるから別に見る必要もないと思っていたから。 しかし、とんだ頓珍漢であった。 プラン、スケール感、ディテール、・・・ 全てに今更感動してしまった。 本当に馬鹿だった。 時間よ戻れ。
そして、
Maison la Roche で一緒になったドイツ人にすぐ近くにコルビジェがアトリエとして使っていたアパルトマンがあって、しかも週に一度しか公開しないことを教えられたから行くしか無い。 近いと言っても歩きやメトロじゃ割と時間が掛かるわけで、そこも
Velib' ならあっという間だった。
本当に
Velib' のおかげ。 コルビジェが生活していたペントハウスにまで来ることができた。
すっかり感動してしまい、後日コルビジェの最高傑作の誉れ高い
Villa Savoye まで行くことになる。 これじゃ遅れてきた建築科学生である。
セーヌに掛かる撮影スポット、ビルアケム橋、 その後もセーヌ川沿いにエッフェル塔、そして凱旋門を望むシャンゼリゼ通りと
Velib' を走らせる
パリの帰宅ラッシュ時、パリジャン、パリジェンヌ、皆
Velib' かなりのスピードでかっ飛んでいく。 かと言って、さすが自転車大国だけあって車が幅寄せして意地悪をする様な輩はいない。
メトロを使った観光じゃメトロに載ってる間はブラックボックス。 そして地上はいきなり目的の観光地。 何処にいるかよくわからず人に聞いても不親切。 これじゃ好きになりようがない。 Velib'は違う。 変わっていく街の雰囲気をシークエンスに感じることが出来る。 金持ち地域から黒人だらけの怪しい地帯、街の匂い、観光地から只の住宅街・・・
パリは住むように楽しむのがいいとか、パリ通気取りが訳の分からぬことを雑誌で書いているのをよく見る。 その心がなんとなくわかるような気がした。 短期間で街それぞれの雰囲気を感じるにはもってこいの移動手段。 パリが近づいた、そして好きになった。
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