20140831

寒 立 馬



下北半島を矢尻崎に北上する時、「本州北東端への道」 という旅情を掻き立ててくれる響きとは結構違っていた。 太平洋側を北上したのだけれど、その道沿いには歴史を感じさせる様な町並みはなく、かと言って、自然地形も余り見るべきものがない。 


容易にアクセスできるところではこの物見崎位しか見つけることが出来なかった。




 
更に言うと、 道沿いにあるのは森と言うには寂しい若い木々の林、何かがあると思えば自衛隊の対空射場、そして原子力発電所(海岸線右端、東通原子力発電所)など、ヤサグレ感のほうが強い。




 
  


街らしい街もあまり無し、食堂も殆ど見当たらない。
海沿いの街で、空腹に耐えられず食堂を聞いて教えられた文化食堂。 海沿いなのに魚介ウリでも無くメニューはカレー、カツ丼、ラーメン、定食 ・・・ とまるで期待できなかったのだけど、のけぞった。


前回ラーメンのスープを飲みきったのは何時か思い出せない。それほど久しぶりの汁まで完食。
クリアでキレのあるスープ。 聞けば 「煮干しだー」 と店主。  煮干しでこんな出汁取れんの?とまた驚いた。 細縮れ麺に三色のわかめ、トッピングのイカも食感豊か、すばらしい。
 
 
 


 

 
 

 
   


   

 
本州北東端の尻屋崎に至る道、山には沢山の風力発電用の風車。 さらに尻屋崎に近づくと護岸防護ブロックなどもない自然な海岸線になった。  
 
 
青空の先、海水面辺りから霧が広がっているのが見える。 この辺りではよくあることらしく”やませ” と言うらしい。  回りが霧に覆われるとともに肌寒いほどになり空気が変わった。 霧は視界も効かないほどの濃さでゴーグル、ハンドルまで水滴だらけになる。 最北端とか最南端とか端部には観光客密度が高くなるものだけれど、ここは閑散としていて ”心地いい最果て感” がある。

 
 











寒立馬というだけあって、ただ突っ立っている姿が印象的だった。
雪の吹きすさぶ中、寒さや風雪にじっと耐える姿が印象的な寒立馬だけれど、夏も突っ立っている。  4~6月は産卵期だそうで、夏は沢山の仔馬。 親に寄り添うもの、そして好奇心旺盛に寄ってくるもの。 

 
 
寒立馬は天然記念物に指定され、元々の農耕用途ではなく地域の観光の呼び物として放牧されている。 ただ、観光客に可愛がられる姿とは裏腹に、頭数調整のため食肉用馬として毎年主に0~1 歳の若馬が家畜市場で売られているそうでして ・・・ 。 牛も馬も豚も普通に食肉用に処理されている訳でセンチメンタルに寒立馬だけ可哀想なんて言いたくないですけど、青森県は天然記念物に指定していると聞くと違和感あります。 馬はこの地、東通村の持ち物だそうですし。 



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20140827

ヤンデレ村


 
下北半島を北上した。 大きな空、穏やかなアンヂュレーションは北海道を思わせるところもある。 

 
 

 
 

  
核燃料再処理施設が有る六ケ所村。
プロローグは原子力村のイメージとはまるで違っていた。  風力発電の風車そこかしこに回っていて送電鉄塔がにょきにょきと突っ立っている。 なんでも六ケ所村は日本有数の自然エネルギーの発電地でもあった。 六ケ所村はクリーンエネルギーの村でも有る。  


  


クリーンエネルギー気分を味わってからものの10分、日本原燃再処理工場のゲートがあった。  写真でもとパチリとやっていたら、警備員が必死で走ってくる。 面倒なので、ほんの近くまで近づいてきたところで、微妙なスピードでじんわり漕ぎ出してイジワルをした。 
 
 
撮影を制止するために100m以上も必死で走ってくる程のシークレットなら端からベールで隠せばいいのに。  でも、それをやったら、日本原燃は隠蔽体質だとかゲートまで隠しだしたとか言われかねないのでそれも出来ないのだろう。  被曝量は多いわ、走らされるわ、下はたまったもんじゃない。 
 
 
 

 
その僅か10分後、私は原燃のPRセンターという変わった形の施設に辿り着いた。 
私含め3人しか客がいない立派な施設で使用済み核燃料の再処理工場について勉強させてもらった。  

 
写真を制止しに走ってくる必死の顔に、PR施設まで作ってPRしちゃうコンパニオン嬢の顔がオーバーラップした。  結局PRしたいのか、したくないのか。 
 (あとで下北の人に聞けば、これは外部の人にPRするための施設じゃなくて、子供の頃からイベントなどを通じて原子力に親しませ、地元から反対者を出さないようにする施設だったようです。)
 
 
 

 
偶然にもその夜六ケ所村と日本原燃に関する番組をやっていた。
放置していれば、只の限界集落で跡形すらなくなる可能性が高かった村。 それが、原子力を受け入れてからは日本一裕福な村になった。 この現実を見れば ”核の危険と引き換えに雇用と富を手にしたシャブ漬け村” 等と悪口言われても反対など誰ができよう。 一般的に言っても危険なほど給料が高いし、国債だって利率がいいのである。 
 
 
 
結局、違和感を感じるのはその行動なのだろう。 後ろ暗いことをしている輩は挙動不審である。それはいつも何かに怯えているからだろう。 中国共産党然り、正当性を声高に叫んでおきながら、国民を情報から遮断してみたり。 原燃のようにゲート程度の撮影にすら制止に躍起になりながらも原子力PR してみたり。 竹中直人の笑いながら怒るオッサンか。 

  
 
そもそも 「原子力は安全」と言ってみたり「放射能はアンダー・コントロール」だと言ってみたり嘘を垂れ流すところから物事がおかしくなる。  国主導の事業はとりあえず綺麗事と建前を並べ立てる説明会など開催し体裁を整えるところから始める。 その後、反対派が座り込んでも機動隊など投入、制圧してやりたいようにやって金を撒いて黙らせるのがいつものパターン。 当然印象は悪い事も自覚しつつ、真顔の挙動不審。 民間では否応のないガバナンスの厳格化がすすみ倫理と効率化が両輪で求められるのに、ガバメントの方はまるで時代遅れの旧態依然。 

 

Related to:
http://urx.nu/azx9  指示を出す上がアレだと、警備員も不憫
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20140823

小川原湖の天然鰻



青森三沢である。 草ぼうぼうだけどサイクリングロードも有る。 こんな田舎じゃCRじゃなくて車道で十分と思いきや三沢近辺は意外と車が多い。  


春の青森では、天然うなぎは夏前からと言われまた馳せ参じたというわけである。 これは去年の夏、岩手の割烹での話し以来望み続けていたこと。(http://feticizm.blogspot.jp/2013/09/blog-post_3564.html
 

  

 
  


三沢基地にはアメリカ軍も居る。 
轟音の方を向いても姿見えず、その先を更にたどるとF16が低空飛行。
小川原湖では一部米軍基地が専有していて、アメリカンが子供連れで優雅に遊んでたりする。
一瞬日本に見えない感じ。  三沢から北の下北太平洋側は悪い意味で青森のイメージとはかけ離れたところがここかしこにある。

  
  

  
 


30分ほど掛かって出てきた。 
肉は穴子のような見た目。 口に入れた瞬間明らかに香り違う。 例えが出てこないけど香りが鼻に抜ける。 小川原湖はヘドロが多くてであまり綺麗な湖ではないのだけど変な匂いではない。 甘めのタレ、皮目の焼きが甘い、肉は厚くはないが脂がかなり多い身質。 初めての感じ。なかなか良い。 おまけにかなり安い。   
  
 
 

 
香りからして天然うなぎって思った。 でも若干疑いもあった。 脂は凄いのっているし、そして東京じゃ7000円は下らない天然うなぎが3300円は安すぎる。 試しに 「これ小川原産なんですか?」 と聞いてみましたら、店員さん 「そうですよ。見ますか?」  
 
 
・・・・
 
 
この色は間違いない天然の証拠。 養殖の腹は真っ白なのです。 
「うなぎ」は「むね黄」から来ていると言う説も有る。


  

 
 

 
天然うなぎ漁獲量日本一が小川原といっても、、東京の鰻屋で「青森産鰻」など見たことがない。 築地に出入りする料理屋に聞いても「青森産鰻」なんて見たことがないとおっしゃる。
 
 
この答えが、八戸の割烹屋との会話にあった。 
その店に客として来たという東京の鰻業者の話、青森まで天然鰻の買い付け交渉に来たけれど断られたという。 その理由は、「鰻は全て売り先が決まっている」。 この割烹屋曰く八戸の市場ですら天然うなぎなど見たことがないとか。 それで、本当に小川原湖が天然鰻漁獲高日本一なのか疑問ではあるけど、なるほどと。 
 
 
青森の市場に行くと面白いものに出会える。 こんなところに居るの?と思うワタリ蟹や天然とらふぐが売られてる。 割烹屋でも虎河豚焼きの他に夏なのに大きな白子!! 青森で虎河豚も驚きだったけど夏に白子まであるとは・・・海水温が低いからだろう。   そして、ボラも青森では身は食べるけど卵は食べないから捨てるのだそう。 この店じゃそれをもらってきてカラスミを作っていた。 色々地域によって食文化違いますし東京じゃ青森産の渡り蟹や虎河豚なんてみません。 これも良い地産地消でしょう。 東京が絡むとなんでも経済の理屈まみれになりますからねえ・・・。 


 
 
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20140815

My Choice



左のレスポチタンのパッケージは随分古い。
6 年くらい前にパッケージが変わる際に安くなっていたのを何本かまとめて買った最後の一本が無くなりかけです。 このオイルは随分気に入っていたし、何度か浮気はしたけれど結局こればかり使っていた。
まあ、TITAN って書いてあるし。
 
 
でも今年は京都の佐々里峠やら八幡平やら雪解けの泥水跳ねる道を随分走って気付いてしまった。 「これダメじゃん」って。 基本晴れ男なのでほどんどウエット性能知らずに過ごしてきましたけど、晴れの日の雪解け道は走るんです。  と、あらためてレビューなぞ見るとバッチリ、「ウエットに弱い」って書いてありました。
 
 
八幡平からキュルキュル言わせながら岩手県の自転車屋にピット・イン。 「油差して頂戴」 って言って出てきたのがこのCRCのスーパーチェーンルブ。 正直 「やべ、CRC か・・・」 って思いましたけど、間髪入れず、店のおっちゃんがスプロケ目掛けてブシューっとやったわけです。 「チョチョちょ・・・」って慌てて制止しましたけど、これが思いがけず良かった。 キュルキュル言ってる状態からの滑らか無音への復活度合いは感動するほどだったし、その後また十和田湖から雪解け道を20km程走ったけれど、まるで油切れする様子もなかった。 私の中では「CRCやるやん」 に評価は変わってました。 
 
 
でも、CRCに対するネガティブイメージって何故?って思い返すと556掛けると樹脂が溶けるとか、一時期よく聞いたネガキャン位しか思い出せない。 CRCは安物の粗悪品 ・・・ そんな知らずうちの刷り込みに影響を受けていた自分にも驚きました。 これレスポチタンの1/4ほどの値段ですし、もう幸せ情報満載した糞高い自転車専用オイルじゃなくても幸せになれます。 


最後に、タダで注油してくれた上に、へんな偏見を解いてくれた岩手の自転車屋のおっちゃんありがとう。



Related to:
http://feticizm.blogspot.jp/2014/04/blog-post.html
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20140811

京柱峠 via R439


 
秘境、祖谷のかずら橋には完全にやられた感だったけれど、祖谷の谷沿いを走り見上げた山肌にへばり付く村落を見ると秘境という言葉もあながち嘘じゃないように思えてくる。 
 
  
耕作も困難であろう厳しい傾斜地を開墾し、南国の多雨そして冬には雪も積もるこの地の自然と対峙してきた人達はどのような人達なのか。 その人達が長きにわたって作り維持してきた里山の風景を見れば琴線に触れるのである。


 


集落ならまだしも、「そこまで上る必要ある?」という頂きに近い位置にまでポツポツと家があったりする。 先人たちは何故にこんな不便な場所に居を構えたのか? やはり平地を追われて、こういう場所にしか住めなかった事情があったのかと考えを巡らせたくなる。 こういった厳しい環境の集落には必ずと言っていいほど平家の落人伝説が用意されていて、ここも御多分にもれず平家落人伝説が残っている。 そしてこの辺りを走ってよく目にしたのは「差別のない社会へ」なる看板だった。  落人、被差別部落という概念もここではかなりの長きに渡る歴史の積み重ねがあるのだろう。   
 
 
 

  


 
  

 
山岳集落が点在する祖谷の谷筋から道幅はぐんと狭くなり徐々に高度を上げていく。 
四国の山の中を東西に結ぶR439号、別名与作酷道である。 道はひび割れ、木漏れ日が美しい林道然とした路を17km、登って行き着く頂上は徳島県、高知県の県境の峠、京柱峠である。 
 
 
  

 
  

 
  

 
峠のシシ肉うどん。 旨かった
かずら橋の近くの山菜そばだけで、ハンガーノック気味だったからからも知れないけど。 


一息ついて、水をゴクリと飲み干せば窓から心地いい風が吹き抜けました。 そう、ここは四国の脊梁山脈の尾根。  壁には『ツールド西阿波』のポスター。 こんな辺鄙な場所でもサイクルイベントやってます。 でも、こういう所走るのが好きな人って、コース外によさ気な集落見つけたらそっちに寄り道しちゃう系の人じゃないかしらん?  時間もコースも決められたまま走るんじゃ満足しないでしょう。


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20140807

秘境、祖谷 かずら橋


 
祖谷(イヤ)に至る。  
祖谷は徳島県の最奥に位置する秘境と言われる場所。 1185年屋島の戦いに破れた平家落人の里としても知られている。
 
     
 
  
  
  

  
宮崎の椎葉村、岐阜の白川郷とともに3 大秘境と言われる壮絶な自然がある、
200mもの高低差を持つ深い渓谷、翡翠に輝く精励な川。 昔ながらの山里の暮らしを送り様々な伝承と共に生きる人達がいる。 
 
 
こんな言葉が並べば否が応にも秘境、祖谷に夢膨らむ・・・
 
   

  
  
  

 
山にへばり付く畑や家々、雰囲気満点のボンネットバス。 役者にあふれている。
 
  
青看板に”かずら橋” の表記が出てきた。 迫る源氏の追手を阻むためにいつでも切り落とせるように平家の残党が造ったとの言い伝えがある、祖谷の観光スポットである。 
   
   
   
   
   
   
  
   
  
  
  
     



 
 
渓谷には車や、観光バスの駐車スペースを賄うための大規模な人工地盤が造られていた。
”秘境に人工地盤” ・・・ 私はひっくり返りそうになった。
  
観光バスから吐き出された人達が、旗振りコンダクターに従えられかずら橋付近は人で湧ていた。
私の中の「秘境」 がどんどん溶けていった。 

こんなに人が乗ったら、かずら切れるんちゃうん? と心配になって足元を見たら、被覆された極太ワイヤーがバチコンしていた。  そう、かずらは飾りでしか無かった。 本物のかずらなら500円でも値打あると思ったのだが、もう返金などしてもらえない。  だって、この橋は一方通行だし。
 
 

 
そもそも、秘境を売りにした場所に秘境などあろう筈がない。 
知ってたけどがっかりしたのはちょっと期待してたから。 



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20140803

My kind of place


 
高知を走って感じるのは、山々に隠れるようにある里山と谷筋に流れる川の美しさ。
『古畑知っちゅう? 山の上じゃきに自転車じゃだれるけーど』(自転車じゃ疲れるけど) と、地元の人。
仁淀川の源流域の集落だといいます。 「古畑」でググってもそれらしい情報は何ら出てこなかった。 
     
 
  

   
 

 
 

 
古畑の方、高知から西の方向へ向かった。 
途中、佐川という場所。 有名な酒蔵がある。 高知の人はめちゃくちゃよく飲む。 当然高知にも酒蔵がいくつかあって、やはり重要なのは水である。  この酒蔵の酒には『仁淀ブルー』なんて銘柄まであって、当然のように仁淀川水系の水が使われている。 


  

 
 

 
  

 







川沿いの道を山に向に向けて高度を上げた。 そこには山にへばりつくような集落。 
琴線にビシビシ触れまくった。 ここを薦めてくれた人は良いセンスしてはる。
 
 
   
おばちゃんが庭の小夏を採っていた。 「食べろう、食べろう」(食べなさい)。と渡された。 小夏なんて高知の物産館以外では東京でも殆ど出回っていないのだけど、これが美味しい。  「美味しい、美味しい」 と食べていると、持って帰れと言って聞かない。  お蔭で、ハンドルにビニール袋を下げて走る羽目になる。  日本の田舎のいいとこ。


  




 


 
 

 
これだけの石造りの棚田が百選に選ばれるでもなく、その美しい姿がネット上に語られているでもなく・・・  
 
 
何か不思議な感じ。 
ネットの中にすべての情報があるかのような錯覚に囚われているからだろう。 
何をするにもまずはググる情報化社会に暮らしているから当然なのだけど、そんなもの何処吹く風と何にも属してないかのように飄々としてある集落。 属してないのだからそんな情報はない。 
知らないからこそ得られる感動。 15年ほど前までは、これが普通だった。
 
   
      

 
 

 
そういえば、高知はフルーツトマトの栽培で有名なところ。 東京でも高知産のフルーツトマトが結構な値札を付けて出ているけど、やはり地元は安い。 高知から佐川に向かうR33 はオムライス街道として、そのフルーツトマトを使ったオムライスで盛り上げていました。 (味は見たまま・・)



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