駅前から伸びる軸線の先に姫路城があった。
白鷺城の名の通り白く優美な姿である。
太平洋戦争後、復員兵達が姫路駅を降り立ち真正面に見える真っ白な姫路城を見て皆涙したと言う。 外地から神戸港や大阪港に降り立ち、焦土になった母国を見ていたからだろうか。 姫路市は終戦前の2ヶ月の間に2度の空襲も経験している。 なのに姫路城は破壊されること無く今までその姿を残すことができた。 それは、空襲時に目標にならぬよう城全体に黒い網を掛けたからだとバスガイドが説明していた。
大きくて立派。そして美しい。
これが木造だというのだから驚く。
阪神淡路大震災の際にも壊れなかった姫路城。
その理由の一つが、瓦一つ一つに塗り込められた漆喰である。
古くなって黒ずんでいるけれど、真っ白に漆喰を塗り直し屋根まで白く見えるその姿が白鷺城の由来。
古い日本建築を見ると、城には鯱、そこまで大それた建物でない場合は、大棟に波の意匠。
やはり木造建築は火が天敵で水に纏わる意匠がある。
日本の城を見ていつも残念になる。
海外の城とは全く違う見せ方。 家具も畳も床の間も掛け軸も何もない。
これでは殿様がどのように生活していたのかまるで見えてこない。
説明にあるのは大きな柱を何処からどのように持ってきたかなど。 なにか抜けている。
少し不完全燃焼気味の姫路城の近く、何かあるかと調べましたらありました。
書写山と言う山の頂あたりに築かれた圓教寺の寺院群。
1000年以上の歴史ある寺で、 ラストサムライや軍師官兵衛のロケ地。
山の途中まではロープウエイ。
そこから木に囲まれた土道をのぼっていった。
途中右側に視界が開ける場所がある。
手前の山に邪魔されて見にくいけれど山の肩から姫路城が見えていた。
大講堂、食堂(ジキドウ)、常行堂がコの字型に並び、3つのお堂が向き合っている。
窓から大講堂を見るこの食堂で、勝元(渡辺謙)と氏尾(真田広之)がオールグレン(トム・クルーズ)を生かすか斬るか話すシーンが撮影された。
最近はメジャーどころは外人だらけ。
しかし、ここまで来ると流石に居ない。 静かな参道を戻った。
姫路を3時に出て東方に走りだした。 ずっとつまらない道。
何も考えず黙々と漕いだ。
2時間後、海の香りがしてきた頃、明石港に入り右に目をやると明石海峡大橋の主塔が見えてきた。 世界最長の吊橋である。 この橋をレインボーブリッジを見るような目で見てはいけない。
なんとその主塔は横浜ランドマークタワーより高く、近くに寄れば寄るほどそのデカさに慄くばかり。主塔高さは298m。 今でも日本で4番目に高い構造物となっているのである。
と、世界最大に拘って最後、
姫路城は当然世界最大の木造建築かと思いきや、世界一はスペインセビリアのメトロポールパラソルなる現代建築であった。 もっとも、写真を見てみると集成材を組み合わせたものであまり関心しない。 だって、接着剤と圧力で固めた木材で作りましたと言われても、それドーピング やんって。 やはり木は無垢材として戴きたい。 ただ、それでも1番は姫路城ではなく東大寺であった。 石垣分でかなり盛られて大きく見えているが、東大寺が日本一とのことで、東大寺も行かなくてはならなくなった。
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