20150604

津 軽 半 島



青森から津軽半島を北上した。 

内海である青森湾、陸奥湾は津波の心配もないからか、海沿いの道は海面に近い高さ。 
風はなく海は凪。  止まって海を眺めれば風も波の音さえもなく、鳥のさえずりそして偶に通りすぎる車の音だけになった。 


 


 







  

津軽半島を内海沿いに走った中程の外ヶ浜町に蟹田という場所がある。 津軽半島でも最も古い街で津軽地方の名物トゲクリガニがよく採れることが名前の由来となっている港町。 この辺りは白魚漁も盛んで蟹田川沿いには ”蟹と白魚祭り” なる灯籠があった。  そう、蟹と白魚がまさに旬だったのである。
 
 
早速、その2つを食べられる店に入る。
ぎっしりミソが詰まったトゲクリガニ。味噌汁にはその出汁が濃厚に入っていた。 白魚はオドリではなく卵とじと天ぷら。 ワシワシと掻き込んだ。 朝飯はコンビニのおにぎりだけだったから。
  
  
 




 



蟹田のあたりは太宰治の小説 ”津軽” にも登場し” 蟹田ってのは、風の町だね。” という件がある。
そして、 風の日の翌日の様子をこう書いている ” 昨夜の私の暴論を忍び笑ふかのやうな、おだやかな上天気である。そよとの風も無い。” こんな日だったのかなあ。


正面の山々に白く見える部分がところどころみえる。 下北半島の西海岸だから、あの辺りは去年訪れた仏ヶ浦の辺りじゃないか? あの辺りでウニ丼食ったなぁ。 海を覗くとトゲトゲのウニがゴロゴロと転がってたっけ。
 
  


  
 


青森ウニの店では食べログ一番の店。 
丼からはみ出る鰻はよくあるが、丼からはみ出るウニ丼は初めてである。 ウニでは青森の一番の店とはいっても、このような店(半分ラーメン&カレー屋)だから所詮はウニを買ってきてご飯に並べてるだけだろうに ・・・と高を括っていたが違いました。 ウニの身が一つ一つ並んだその丼姿に愛情を感じたのです。 「アホみたいなこと言うとる」 と思うかもしれないけれどほんとにそう思いました。 そんなことを感じたので聞いてみれば、きれいな女将さんは朝も暗いうちからうにの殻を向いていると言うてました。 見たことありますけどウニの身って、黒い筋がついていたり掃除するのも結構な手間なのです。 ここのウニは身が本当に綺麗だったのです。


 


走っても走っても凪いだ海と穏やかな漁村の風景
私の好きな日本の風景に里山の風景がある。 それに対してここは里海といえばいいのか。 
 
 
古くから海と一緒に暮らしてきた人の生活が感じられる海辺の風景。
同じ青森県の並びあった2つの半島なのに下北半島と津軽半島では全然違う。 朝から、トゲクリガニ、白魚、うに丼にすっかりご満悦になったこともありますけど、私はすっかり津軽半島ファンになっていました。







  
 


実は穏やかな津軽半島は内海沿いだけでした。 
北上する内海から津軽海峡方向へ向かう西方向に進路が変わった途端信じられない程の強風吹き荒ぶ道。 しかも向かい風。 スピードは出ないし海には白波が立っていて、細かい海水の飛沫が顔に感じられるほど。 

  
 
  



     
   


不思議なんだけど、凄い西風が弱まる場所が部分的にあるんです。 海から立ち上がる山に阻まれるのか風が落ち着くそんなところに限ってこんな素敵な漁村が点在している。  
 
 
そして三厩から竜飛岬までは点々と隧道が続きます。 この辺りの隧道は津軽海峡トンネル建設のために昭和30年代になってからできたもので、それまでは崖にへばり付きながら徒歩で行き来するか、舟で行き来する陸の孤島的だった場所。  そんな風土に依って染み付いたものなのか、点々とあるそれらの漁村にはなんとも言えない暗さ、抑鬱感みたいなものが漂っててそれが逆に私の旅情を掻き立てました。


 





ここも一昨年訪れた竜飛岬は津軽海峡亭。
”今日のウニはいいウニだ” って青森訛りの店主。 ウニは赤ウニが出てきました。 一般的には赤ウニのほうが高価で濃厚というけれど、ムラサキウニも赤ウニも新鮮なのはどちらも美味いです。


 
  
   
  



  
  
  

  
 


やっぱりこの道はかっこいい。
日本唯一の階段国道からぐんぐん高度を上げる竜泊ライン。 ただ、残念ながら急に雲が低くなっててっぺんは半分雲の中。 本当なら津軽海峡を挟んであっちには北海道が望める場所だけれどこれは一昨年と同じ。 こういう半島の端部は下北のヤマセと同様海水温が低くて霧や雲が発生しやすい場所だから仕方がない。 
  
  
 
  

そうそう、この景色。
津軽半島の分水嶺をまたぎ竜泊ラインを中泊方向へ南下する途中の九十九折のカッコイイ道。 
ターンするたびに強風の追い風と強風の向かい風が交互にくる。 一昨年のこの九十九折はこの半島で一番きつい思い出だった。 風向かい風のover10% の登りには何度か押し歩いた。 やはりカッコイイ道は下りで余裕を持って楽しむ方がいい。
 
 
2度目の津軽半島。  前回はずっと見ていたい景色に駆け足のスケジュールに後ろ髪惹かれたけど、余裕を持ったはずの今回も同じくだった。 この場所の夕日を見たりと考えると今度は竜飛岬で一泊する他あるまい。  津軽半島はまた来たい所。



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2 件のコメント:

  1. 毎度毎度素晴らしすぎて溜息が出ます。
    訪れる場所も、食べる物も、切り取るセンス、そして旅自体のどれも質が高い。
    最後の竜泊ラインめちゃくちゃかっこいいですね。
    東北は自分が住んでるとこから”アクセス的”に最も遠い地域なのでなかなか難しいのですが、
    今回のを読んで絶対に走るって決めました。あと雲丹をお腹いっぱい食べるのも。
    FeTiさんのブログは見る度に行きたい場所がどんどん増えてく危険なブログですが、
    そんな危険な誘惑を今後も楽しみにしております。
    お疲れ様でした。

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    1. すいません。 褒められすぎで。

      山陰から東北はハードル高いですよね。 家の前から空港バスが出る場所に引っ越してしまいまして日本中どこでも行くのに日本で一番アクセスいい場所のような気がしてまして、逆にヤバい感じです・・・  少し前に山陰もいったのですが、ええとこありますねえ。 石州瓦の町並みがあんなに美しいと思いませんでした。 感動した場所もいくつかありましたよ。 日本海側は赤ウニの時期でもありますよね!

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