20130831

日本海沿い


 
朝から雲ひとつなく夏の太陽が照りつけていました。 
今日はずっと右手に日本海の水平線を望みながら走る日。
一生で一番長く日本海沿いを走り続ける日になるかもしれない。  

 
   


宿から数km、秘湯 不老不死温泉があった。
海岸の岩場に湧きだす温泉。 夕日を見ながら入るのに最高なのだけど今は朝


そうそう来れる場所じゃないし、ここで温泉に入らなかったらもう来ることもないかもしれない。
そんな風に思いながらも、10kmも走ってないのに結構汗だくで温泉は気分的に負け。
後ろ髪引かれつつこの場を後にしましたけど今頃後悔しているのは完全に負けだと思うのです。 
 
 
 

 
 

  
更に不老ふ死温泉から程なく走り、海岸線から結構な山道を白神山地の方向に登ると幾つもの池がある。その中で一番奥にあるコバルトブルーの水を湛える池。  その青池なる池を見るためだけに小一時間も掛けてここまで来た。 
 
 
そこで日本一周中の埼玉サイクリストと会った。「自分の自転車20kgあるっすよ。 せっかく登ってきたのにこれだけかぁ・・・」  図らずも俺の気持ちを代弁してくれた。  ここは車で涼しげに来たい。
まあそれが理由じゃないが、この後はもうひたすら青い海と空と食に専念することになる。
 
 
 

 
 

  
    

  
 

  
  

   
   

  
 

  
青い空、青い海。 なのにそう思って見るからでしょうか?憂いを含んだ感じが日本海。
地図上では海沿いを走るR101だけど、国道からそれれば更に海側には静かな小さな道がある。
そんな海沿いの小さな道を丹念に選んで走った。
 
 
 
そんな道すがら干してあったイカ。 焼いてもらって食べた。 
イカ一杯はあまりにも多いけど全部食べてもうた。
干して凝縮した味が実に旨い。
  
  
  

 
県境を超え秋田に入り海沿いの集落で道を確認していたら、横で話しだすおっちゃんがいた。
その話は自分の生い立ちから、庭に連れて行かれ盆栽の話まで。 このパターンは大抵長くなる。
「昔漁師をしていてここで住むのは最高。 盆栽もできるし魚貝は旨いし 」
訛りすぎて殆ど言ってることがわからないのけど、そんな感じのことを言ってることは分かった。
 
  
 

  
 

 
と、おっちゃんの話を聞いていたからこんな素敵な看板に出会えば入ることになる。 
イカでお腹いっぱいたけど、メジマグロ、ワラサ、ボタン、ホタテ、アワビと豪華なお重を頼んだ。
そういえば、ここ八森では日本海の生本マグロの水揚げもあると言ってたなあ。 
この天然アワビも味が濃くて本当に旨い。 
そして後で出てきた鮑の肝はとろりと濃厚でまるでクセがないもの。 こんな肝は初めてだった。
またしても完食してしまった。  
 
 
 
天然アワビとわざわざ書いてあるので、アワビは養殖しているの?と大将に聞けば青森白神の辺りのアワビは稚貝を放流しているらしい。 アワビを養殖している事すらまるで知らなかった。




 
 

 
 

 
地図を見ている分には漠然とずっと海沿い気分でいたけれど現実には八森を超えてからは徐々に海から離れていく。 さらには市街地能代に近づくと共に車も多くなる。  日はまだ高いけれど途中油を売りすぎていた様で既に夕刻5時。 見るべき景色も無くなって黙々とペダルを回すことに専念していた。
 
 
 
八郎潟干拓地に入ると宿泊地である大潟のホテルまでだだっ広いまっ平らな平原。
朝の水平線とは打って変わって、夕方には地平線すら感じるような場所を走っていた。
気づくと正面には傾く太陽に地平に向かってまっすぐ輝く道。 
この日の旅のエピローグにピッタリの情景だった。


 
__________________________________

20130828

津 軽 半 島



夜、雨の音で目が覚めるほど強く降っていた。
もし雨なら半島全体をすっ飛ばすか?半分くらいで横断するか?寝床でこの先の行程をうつらうつら考えていた。 

 
青森駅前には朝市があって、とりあえず腹ごしらえをしてから決めようと外に出た。 
電光掲示板にはAM5:14
ついさっき迄降っていたという感じの道の濡れ方だけれど雨粒はあたらない。
  
 
  

 
 




  
まだひっそりとした朝市の寿司屋で三色丼、そしてお好みで生クロマグロの中トロ、大トロ  
残念ながら下北半島大間産ではなかったがいよいよ走る気が出てきた。
 
  
 







 
下北半島を北上すると、濡れるほどではないが雨粒がたまに当たる。
そんな時すぐに折れる。 心が折れる。 そして左に折れる。 すなわち半島をショートカット。
と、十三湖沿いに朝9時というのに ”しじみラーメン” と書いた幟。 まだまだ、早朝の丼ぶりは消化中であったが素直にピットインしてみせた。 
 
 
十三湖はしじみの名産地。 しじみラーメンの滋味深い味わいが五臓に染み渡る。
   
  
 





津軽半島を横断し日本海側に出ると、チラチラと青空が覗くようになる。 
そういう時奮い立つ。 心が奮い立つ。 右曲がりに奮い立つ。 すなわちまた半島を北上し始めた。
 

そして空が青色に変わった。 海も青色に変わった。
 ”鉛色の日本海” というイメージは日本海側の天気の悪さを海の色で表したものだと思った。
 
  
  




 
  

 
 

 
龍泊ライン  
海の高さからどんどん高度を上げるその道、車少なく景色は雄大。 最高の道。
10%を越える斜度沢山、そして写真では見えないけど直進できないほどの向かい風。 
 
 
いい道はきつい道でもあった。

 
   

 
龍飛 R339 階段国道
ここを降りればもう津軽半島の最北端





  
 


港の向こう側に見えた津軽半島最北端の店 ”津軽海峡亭”  

 
醤油をかけないまま食うた。 凄く美味かった。 
シンプルなものでも、店によって結構違う。  


  

 
 

 
 

 
  

 
 

 
8の字を書くように津軽半島を回った。 
その頃には日差しさえきつくて肌をカバーしていない所は真っ赤になっていた。
十三湖から南下を始めたその道は田んぼの中を何キロもひたすら真っ直ぐ。  
その名は ”米マイロード”   上手いこと言いやがって
  
  
 

 
 

 
 

     
   


「こんな夕日はいつぶりだろう?」 とペンション深浦の女将さん
夕食も美味かった。

 
今思い出しながら遠い目になる。
夢の様な日。



____________________________

20130825

久保田さん


 
白神山地から弘前市街に下るとそこは日本有数のりんご農園地帯が広がっている。
正面には青森のシンボルお岩木山。 
  
  
  

 
  



  
   
   

 
と、そんな場所で何気なくブレーキをかけた途端カリカリという音とともにホイルが回らなくなった。
キャリパーの中でパッド以外の物がディスクにあたっている。  どう見ても分解するしかなさそうで、初めてのワイヤー式ディスクキャリパーの分解はまさかの青森リンゴロード道端になってしまった。  
 
 
慢心といいますか、長距離を走るツーリングにも関わらず最重要部品であるブレーキの点検すらしてなかった。  見ればパッドは0.5mm以下にまで減っておりパッドをリリースする板バネがディスクローターに巻き込まれひん曲がっていた。  パッドが減るとこういうトラブルが起きるのか・・・ 等と感心している場合ではない。 この板バネは数万回の開閉に耐えるものなので当然硬くて指で曲げられるものではない。 かと言って工具缶にはペンチなど当然のように入って無い。  パッドの粉で汚れたその板バネを歯で噛んで曲げても上手くはいかなかった。 青森でBB7のパッドなど売ってるのか?・・・、この先頼りないリアのカンチブレーキだけで幾つもの峠を超えるのだろうか ・・・  だとかイッパイイッパイになっていた。

 
と、そんな時に一台の車が止まった。 「だいじょうぶが? 工具とかあっけどづがうか?」 と使い込まれた工具箱をポンと渡してどこかに行ってしまった。  ペンチさえあればなんとかなりそうと修理をしているとしばらくしてその人はママチャリで戻ってくる。 自転車のカゴには家から持ってきたという冷たい飲み物 ・・・ 全く恐縮した。  ここまでして下さるとは自転車乗りのシンパの方かと思えば自転車とはなんの関係もない農家の方だったのでした。 


なんとかローターに干渉しないように板バネを修正できたお陰でその後のツーリングを続けられる。
助かった。 そして、あのまま白神林道を走り続けてこのようなことになっていたら ・・・ とゾッとした。
後でお礼をしようと住所など聞こうとしても 「そんなのなんも・・・」 と教えてもくれなかった。 
苗字だけしか聞けなかったけど、後日なんとかお礼をすることができた。
この東北の旅では色んな所で人が良かったなあって印象が強い。  序盤からきた。 
 
 
 
______________________________

20130822

白 神 山 地

  
 
「この先42kmは砂利道です」 
世界遺産白神山地を横断するように通っている白神ライン。 東北最長のダート林道である。
シクロクロスを選んだのは 行程の10にも満たないダートを走るためだった。

 
最高地点だの、最長だのと修行的なスペックが現れると血が騒ぐサイクリストは多いもので私も若干その毛はあるのだけれど、少し、いや、私にとっては大きな問題があった。  情報をさぐってみれば 「景色が広ける所が殆ど無い」 「何時間も同じような景色がずっと続く」 「補給場所はない」 ・・・  と、基本エピキュリアンの私にはほとんど走る意味が無い様なスペックが並んでいる。  出来うる限りの素敵な想像を尽くしても夕刻日本海に向かって3つ目の峠を下り降りれば眼前に広がる日本海と真っ赤な夕日・・・ あら素敵。
いや、たしかに素敵だがその唯一頼りにしている感動がお天道様の手に委ねられているというのもやるせない。 一番やるせないのは出発の時点で夕日など望めそうにない予報が出ている時であろう。 やるせない気持ちのまま走り続ける寂しいダート林道42km ・・・ 考えただけで涙がでる。 
こんな時は2つのパターンを考えておくべきだろう
  
  
 
  
   
   
    
 
 
  
    
   
   
 
ダートに入って登り10km弱、林道から大きな広場のような場所に投げ出されたそこが津軽峠だった。
話の通り同じような森の景色のなかを走り続け、山々が見渡せたのは最後の一箇所だけだった。 
青森の山の中、更には「遭難者三名」 などという看板まであって気分的にはとんでもない山の中に来た気になる。 いや、山奥であって欲しいのかも知れない。

 
そんな気持ちをかき消してくれるかのように、広場にはバスが転回出来るだけのスペースがあって、12便の為のバス停が突っ立っている。 更に囂しい声が森の中からしてきたと思いきや軽装の山おばさん達がドヤドヤと散策路から出てきた・・・ その途端この峠がとても味気ない峠に思えた。 
 
   

  
  
やはり、Bコースとす。  
このまま、日本海まで突っ切るAコースに対して、Bコースは日本海までは行かず白神山地でトレッキングをして引き返すコースである。  こいつが泥除けまで兼ねてくれてなかなかいい。
  
  

  

   
   
   
   
  
  
  
    
   
   
   
   
   
   

 
1993年、日本で初めてのユネスコ世界自然遺産に登録された。
「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」が理由だそう。
ブナは腐りやすく、木材として利用されることが無かったことが幸いしたようだ。  つるりとした樹表面には苔、カビなどの地衣類類付着し、雨が降るとその幹にそって有機分を含んだ水が流れ落ち地面に染み渡る。 そして腐りやすい事がすなわち豊かな腐葉土をうみ、それが川となって海に流れ豊かな海になる。

 
そういえば三陸や北海道など昆布とそれを食べるウニ、アワビなどが多く取れる海の側にはブナ、カバ、ナラなど腐りやすい木が繁茂する森がある傾向がありまりました。 海を育てるには山から育てなければならない。 
 
  

  
  
  


と、ここでウニやアワビが出てきて欲しいところだけれどフレンチ。
白神山地の麓、弘前は意外なほどフレンチの店が多い。 明治より外国人教師が多数来日していたことが理由だそうで洋館も多い。 弘前では青森りんごの他に 「フレンチの町」として観光PRしています。 
 
 
弘前城の近く、映画 ”奇跡のリンゴ” のモデルになった自然農法の木村秋則さんのりんごを使ったコースを頂きました。  レストラン山崎にて



___________________________