白神山地から弘前市街に下るとそこは日本有数のりんご農園地帯が広がっている。
正面には青森のシンボルお岩木山。
と、そんな場所で何気なくブレーキをかけた途端カリカリという音とともにホイルが回らなくなった。
キャリパーの中でパッド以外の物がディスクにあたっている。 どう見ても分解するしかなさそうで、初めてのワイヤー式ディスクキャリパーの分解はまさかの青森リンゴロード道端になってしまった。
慢心といいますか、長距離を走るツーリングにも関わらず最重要部品であるブレーキの点検すらしてなかった。 見ればパッドは0.5mm以下にまで減っておりパッドをリリースする板バネがディスクローターに巻き込まれひん曲がっていた。 パッドが減るとこういうトラブルが起きるのか・・・ 等と感心している場合ではない。 この板バネは数万回の開閉に耐えるものなので当然硬くて指で曲げられるものではない。 かと言って工具缶にはペンチなど当然のように入って無い。 パッドの粉で汚れたその板バネを歯で噛んで曲げても上手くはいかなかった。 青森でBB7のパッドなど売ってるのか?・・・、この先頼りないリアのカンチブレーキだけで幾つもの峠を超えるのだろうか ・・・ だとかイッパイイッパイになっていた。
と、そんな時に一台の車が止まった。 「だいじょうぶが? 工具とかあっけどづがうか?」 と使い込まれた工具箱をポンと渡してどこかに行ってしまった。 ペンチさえあればなんとかなりそうと修理をしているとしばらくしてその人はママチャリで戻ってくる。 自転車のカゴには家から持ってきたという冷たい飲み物 ・・・ 全く恐縮した。 ここまでして下さるとは自転車乗りのシンパの方かと思えば自転車とはなんの関係もない農家の方だったのでした。
なんとかローターに干渉しないように板バネを修正できたお陰でその後のツーリングを続けられる。
助かった。 そして、あのまま白神林道を走り続けてこのようなことになっていたら ・・・ とゾッとした。
後でお礼をしようと住所など聞こうとしても 「そんなのなんも・・・」 と教えてもくれなかった。
苗字だけしか聞けなかったけど、後日なんとかお礼をすることができた。
この東北の旅では色んな所で人が良かったなあって印象が強い。 序盤からきた。
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まさに地獄で仏の絵図ですね。
返信削除仏様が久保田さんになった現れたのでしょう。
こんな出会いがあるのも自転車だからですけね。
冷静になると、とりあえずホームセンター位は青森にもあるのでそれでも見つけてペンチを買って・・・という方法もあったんですけどその時はイッパイイッパイで思いつかなかったんですよね。でもひとつ言えるのは、東京で同じように修理していてもまず声などかけて、更には工具を貸してくれて冷たい飲み物まで持ってきてくださる人はいないんじゃないでしょうか? しかも、お礼を持って行ったんですけどその時も「アタリマエのことしただけ」となかなか受け取ってくれなかったんですよ。 凄いって思いました。
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