陸の孤島
文字通り、陸続きなのにそこに至る陸路がなく、船でしかアクセス出来ないような場所。
三陸や北海道の日本海側雄冬の集落、そして世界遺産にもなった有名所ではイタリアのチンクエテッレなど断崖絶壁にある集落など・・・ 嘗てはそのような場所が割とあった。 そんな場所が今だに日本にある。 西表島の船浮という集落である。
「船浮に行きたいんですけど・・・」
「30人しか住んどらんし、何もない。あんなとこ何しに行くの?」
真っ黒に日焼けした島人にお願いしてモーターボートで連れて行ってもらう事になった。
船着場に着くとすぐその辺だけが、人の暮らしがある場所だった。
とはいっても30人しか住んでいないから建物もそんなにある筈もない。
そんなある建物の前に ”イリオモテヤマネコが発見捕獲された地”
西表島に野猫がいることは分かっていたそうだけれど、1974年3月、この地にあった民家の鶏を襲ったイリオモテヤマネコを小屋に追い込みはじめて生け捕りされた。 ちょうど40年前である。
船着場のすぐ近くには太平洋戦争時、アメリカ軍の上陸に備えて作られたベニアボート特攻艇「震洋」が格納された秘密基地が残っていた。 結局、西表島にはアメリカ軍は上陸せず、ここから特攻艇が出撃することなく終戦を迎える。
もう80年近く前のものだけど荒れてもおらず、最近のものにさえみえる。 保存状態もさることながら、この地区や自然地形全体が当時とあまり変わっていないことからくる雰囲気によってそう感じたのかもしれません。
どなたかの家の軒先に”イダの浜 500m”の看板。
実際には500mではなく1kmに近い砂地や岩、石の道、そして小さな切り通しの峠まであった。 自転車では結構大変・・・いや、そもそも道自体が殆ど無い様な場所にロードレーサーを持って来る意味などあったのか?と考えながら自転車を押していると、目の前が開けて弓型の白い浜があった。
誰一人居ない。 何もない。 さざ波の際にはサンゴのかけら。
陸の孤島
__________________________
0 件のコメント:
コメントを投稿