丁度物心ついた頃、チタンフレームというのが出てきた。 何故惹かれたのかよくわからないが、とにかく無骨に光るチタンフレームという存在に惹かれた。 当然その能書きに出てくるTIG溶接という言葉にも反応した。 ガキンチョの頃なのでその意味までは分かっておらず、ありのままその”ティグ”という語感を受け入れたというところなのだけど。
そのTIG溶接のフレームが日本で初めて作られたのは1980年のVIGORE。 そして自転車の本場イタリアではTIGウエルダーのパイオニア的人物Stelio Bellettiが1973年に創業したブランドがStelbel である。 私がクロモリの旧車を求めるなら2つのブランドしか考えていない。 どちらも当時のものは生産数も少なくあまり市場には出てこない。 その内の一つ、Stelbel が最近25年ぶりに復活した。 80~90年台、台湾の安価な自転車に押されてイタリアの多くの自転車工房が消滅した。 Stelbel もその一つである。
自転車業界ではMASIやMOTOBECANE、Gitaneなどかつてのブランドが台湾やアメリカに買われ復活してるからブランド復活自体が珍しいわけではない。 ただ、それらは結局残っているのはブランド名だけでまるっきり別物に変身しているのが普通である。 Stelbel の復活はそれらとはまったく違う。 資本関係まではわからないのだけど、今でも御年70歳の元の創業者は週に一度はオフィスに顔を出し、フレームの制作はすべての工程をイタリアで行っている。 聞けばすべてをイタリアで行うことがStelbel ブランドにとって一番大切なことなのだと返してきた。 最後の仕上げだけをイタリアで行いmade in Italyを掲げる名ばかりのイタリア製フレームが横行する中、こういうスピリッツを大事にすることはなかなか立派だと思いました(たとえ台湾製のほうが精度が高かったとしても)。 もちろんStelio Belletti が創りだしたTIG溶接の当時のどのフレームとも違う個性が受け継がれ、クラシックスタイルに、そしてまたそれらをリファインし現代的にしたバージョンでStelbel を復活させている。
Modello Integrale
ラグドフレームの時代のどれとも違う革新的なフレームと言われた。
TIGによる自由なジオメトリー 、個性的なクラウン肩、そしてドロップアウトなんぞはレトロフューチャーである。 そんな過去生産していたフレームが過去の形そのままで限定復活する。 しかもお値段も高くはない上にユーロ金融緩和で円換算だとじんわり安くなってきているのもいい。
クラシックスタイルのModello Integrale 以外の新しいモデルもある。
40年前デザインされたレトロフューチャーをイタリアンが現代解釈したらこうなるという感じ。
イタリアンって往々にしてデザインのためのデザインします。 理屈じゃないよカッコだよって。 日本人は自信持ってこんなこと出来ないから無い物ねだりでこういうの嫌いじゃない。 いや、はっきり言って憧れる。 それとフェラーリやメルセデスなんぞも過去のデザインモチーフを現代的にアレンジして取り入れてますが、自転車でもこんなのあったのねってちょっと感動しました。 もっともナットは締めにくそうですし、チェーンステーは16X30の角材みたいなものんらしいから、乗り心地とか色んな所がどんなのかわかりませんで、イタリア物のお約束 ”初物は危険な香り” もプンプンしてます。
最後にちょっと面白かったエピソード。
「このフレームって好きな色に塗ってくれんの? 例えば黒に近いようなディープなソリッドネイビーが好みなんだけど、どないなん?」とメールで聞きましたら、その答えがイカしてました。 「ロゴが黄色は決まってるから、お宅がいうディープなソリッドネイビーならPerfetto だ」 って。 黄色いロゴに合わない色は塗らねーよってことだそうです。 変に譲らないとこイタリアっぽいなーって。
Refered to:
http://www.stelbel.it/
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